学術情報

2023.02.25

第8回 肥満の大型犬と死亡年齢の関係

 肥満はペットのさまざまな疾病の原因になります。よく知られているものとしてイヌでは運動器疾患(椎間板、股関節)、呼吸器疾患(気管虚脱)、代謝性疾患(膵炎)があり、他にもシュウ酸カルシウム尿石症との関係などが報告されています。また犬種との関連性としてダックスフント、ビーグル、コッカー・スパニエル、ラブラドール・レトリーバーが肥満になりやすいとされています。この中でラブラドール・レトリーバーを過体重群と適正体重群に分けて両グループの死亡年齢を比較した調査報告があります。結果では死亡年齢の中央値は過体重群(11.2歳)に対して適正体重群(13.0歳)と2歳近くの差が確認されました。ペットの長生きのためには、フード・おやつの給与量や散歩などの運動量を調整する肥満対策が大切です。

 

《 Effects  of  diet  restriction  on  life  span  and  age-related  changes  in  dogs 》 

                                (出典:海外論文 2002年)

 

 ラブラドール・レトリーバー48頭を通常フードを自由に食べる自由採食群(24頭)とフードのエネルギー量を25%削減した制限群(24頭)に分けて飼育した。6~12歳の体重は自由採食群が過体重、制限群では適正範囲であった。死亡年齢の中央値は自由採食群(11.2歳)、制限群(13.0歳)となった。肥満傾向が高いラブラドール・レトリーバーでは摂取エネルギー量を調整して体重を適正範囲に収めることにより生存期間が延長される結果となった。

 

項目

自由採食群(24頭)

エネルギー制限群(24頭)

体重評価

(平均BCS)

過体重

(BCS:6.7)

適正

(BCS:4.6)

死亡年齢の中央値

(最長年齢)

11.2歳

(12.9歳)

13.0歳

(14.0歳)

BCS(ボディコンディションスコア) 

 ・ペットの肥満度を数値化しランク分けしたもの

 ・5段階評価法と9段階評価法があり、共に数値が大きいと過体重・肥満、

  小さいと痩せている状態を示す

 ・5段階評価法ではBCS:3、9段階評価法ではBCS:4を適正体重とする

 

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