学術情報

2022.10.30

第5回 水溶性食物繊維とイヌの血糖値

 食物繊維の重要性は広く認識されています。食物繊維はほとんどが消化されないため、栄養素としての価値は低いものの、さまざまな健康機能をもっています。食物繊維には不溶性と水溶性の2つのグループがありますが、満腹感や排便促進を期待するとしてフードに配合されているのは不溶性食物繊維です。これに対して腸内細菌により分解(発酵)される水溶性食物繊維の1つであるペクチンはイヌの血糖値上昇を抑えるという報告があります。食後の血糖値コントロールは糖尿病ケアに重要です。糖尿病リスクが高い肥満傾向のペットには水溶性食物繊維を含む食材の給与が有用と考えられます。

 

Dietary fibre fermentability but not viscosity elicited the ‘second-meal effect’ in healthy adult dogs》 

                                 (出典:海外論文 2013年)

 

 健康なイヌ6頭を3つのグループに分け、それぞれ食物繊維内容の異なるフード(低繊維群、低発酵性繊維、高発酵性繊維)を給与した。血液検査を行った結果、給与後3時間の血糖値増加合計量が最も低かったのは5%ペクチンを配合した高発酵性繊維群であった。

 

フードの種類

主な食物繊維の内容

血糖値の増加合計量(mg/l)

低繊維群

1%大豆外皮

40,700

低発酵性繊維群

3%大豆外皮

45,620

高発酵性繊維群

5%ペクチン

30,050

ページの上部に戻る